賃貸併用住宅の建築費ってどれくらい?コストを抑えるポイント
土地の広さに余裕があるのなら、賃貸併用住宅という選択肢もあります。賃貸収入を生活費に加えられるため、収入増につながるでしょう。
気になるのは建築費です。収入が増えても建築費が高ければ、ローンの返済が負担になってしまいます。賃貸併用住宅の建築費を解説します。
※この記事で紹介している制度は2024年6月時点のものです。内容が変更されることもありますので、ご利用にあたってはご注意ください。
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目次
賃貸併用住宅の建築費の相場
賃貸併用住宅は、自宅で賃貸経営を行えるため土地の有効活用ができます。しかし、家賃収入が得られる、節税できるなどのメリットが多い一方で、入居者トラブルや経営問題などのデメリットもあるため注意が必要です。
また「家賃収入をローン返済に充てたいけど、建築費用が高い」と不安を感じる人も多いでしょう。事実、賃貸併用住宅は一般的な戸建て住宅より建築費用が高額になります。おおよその建築費用は「延床面積×坪単価」で求められますが、坪単価の相場は建物の構造によって異なります。
- 木造:70万円~110万円/坪
- 軽量鉄骨:80万円~120万円/坪
- 重量鉄骨:90万円~130万円/坪
- RC造(鉄筋コンクリート):100万円~140万円/坪
上記を参考に、新築時の賃貸併用住宅のモデルをいくつか見ていきましょう。
賃貸併用住宅の新築相場【ケース1】
東京都3階建て(1階・2階:賃貸 3階:自宅)
構造:木造
敷地面積:約55坪(約181㎡)
延床面積:約90坪(約300㎡)
賃貸部分間取り:1K・1LDK
部屋数:6部屋
総額:約7,350万円(住居部分含む)
ケース1は、東京都で建築された賃貸併用住宅のモデルです。収益が期待できる都心部では、収益を重視して賃貸部分を広く取って部屋数を増やすことで、高い収益が期待できます。
ただし、建築費や維持費が高くなるため、予算に余裕を持って長期的な資金計画を立てておく必要があるでしょう。
賃貸併用住宅の新築相場【ケース2】
神奈川県2階建て(1階:賃貸 自宅 2階:自宅)
構造:木造
敷地面積:約66坪(約220㎡)
延床面積:約53坪(約175㎡)
賃貸部分間取り:1K
部屋数:1部屋
総額:約3,500万円(住居部分含む)
ケース2のように自宅部分を50%以上として設計すれば、金利の低い住宅ローンを利用することが可能です。住宅ローンを活用すれば、家賃収入を得ながらローン返済が可能となります。ただし、住宅ローンを利用するには、条件があるため注意してください。
賃貸併用住宅の新築相場【ケース3】
千葉県4階建て(1階:店舗 2階:賃貸 3階・4階:自宅)
構造:RC造(鉄筋コンクリート)
敷地面積:約48.5坪(約160㎡)
賃貸部分間取り:店舗・1K・1LDK
部屋数:店舗+2部屋
総額:約7,000万円以上(住居部分含む)
ケース3はRC造の賃貸併用住宅となっているため、木造住宅に比べて費用は高くなります。また、RC造は基礎工事や地盤改良が必要となるケースが多く、建築費用以外の部分でコストがかかることがあるため注意が必要です。
一方で、RC造は高い耐震性や遮音性を持ちます。賃貸併用住宅では、賃貸居住者とオーナーのプライバシー確保が課題になるため、遮音性に優れたRC造は最適な建築構造といえるでしょう。
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賃貸併用住宅の建築費が高くなる理由
賃貸併用住宅だと、なぜ建築費が高額になるのでしょうか。建築費用が高額になってしまう理由を解説します。
住戸数だけ設備が必要になる
一般的な住宅であれば、家族構成やライフスタイルに合わせて住宅設備を設置します。2階建て住宅であれば、キッチン1、バスルーム1、トイレ1~2が一般的です。
しかし、賃貸併用住宅では、賃貸住戸ごとに設備を設置しなくてはなりません。たとえば、1Kが6部屋ある賃貸併用住宅では、住宅設備(トイレ・キッチン・浴室)は6つ必要です。住宅設備のグレードによって金額は異なりますが、1セット数十万円程度は必要となるでしょう。
また、エアコンや給湯器、インターホンなどの設備を充実させる場合は、さらにコストがかかります。賃貸併用住宅ではこのように、一般的な住宅設備に加えて賃貸部分の設備費用が上乗せされることから建築費用が高額になるのです。
自宅設備のグレードが高い
アパートだけを建築するのであれば、グレードを下げた設備の導入や、外装や内装は低コストに抑えることで建築費を抑えられます。しかし、賃貸併用住宅は、オーナー自らその建物に住むため、外観や内装、共用部分にもこだわりを持つ人が多いのです。
また、自宅部分に最新設備の導入し、内装やインテリアなどにこだわってしまうと建築費はさらに高くなるでしょう。
賃貸併用住宅の費用を抑えるポイント
建築コストが高くなりがちな賃貸併用住宅ですが、間取りの工夫やコツ次第で費用を抑えられます。ここからは、賃貸併用住宅で費用を抑えるポイントについて解説します。
住宅部分が50%以上なら住宅ローンが利用可能
賃貸併用住宅では、住宅ローンを利用できるケースがあります。住宅ローンを利用できれば、アパートローンより金利が低いため、ローンの返済負担が軽くなります。さらに、住宅ローン減税も対象です。最大13年間、住宅ローン残高の0.7%を所得税から控除できる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、住宅ローン減税を受けるには、確定申告が必要です。また、利用には次の条件があります。
- 住宅ローン減税を受ける年の所得が2,000万以下
- 新築または取得した日から6カ月以内に住み始めている
- 住宅の面積が50㎡以上で、その50%が自己の居住用であること
- 借入期間が10年以上
- 適用される年を含めた5年間で、長期譲渡所得等の減税措置の適用を受けていない
このなかでも「住宅の面積が50㎡以上で、その50%が自己の居住用であること」は建築してから修正はできません。残された50%で収益性とプライバシーに配慮した賃貸部分を設計しなくてはならないため、賃貸併用住宅を得意とするハウスメーカーに依頼するとよいでしょう。
シンプルな間取りにする
建築コストを抑えるには、できるだけシンプルな間取りにして、建具やドア、窓の数を減らす方法が有効です。
また、同じ床面積でも部屋数が増えると壁や設備の数が増えるため、建築費用が高くなります。床面積を有効活用するためには、小さな住戸を増やすよりも、ファミリー向けの広さのある住戸を取り入れるとよいでしょう。
住宅と賃貸を上下階に分ける
住宅と賃貸を分ける方法は、大きく分けてふたつあります。
ひとつは上下に分ける横割りタイプです。横割りタイプは、シンプルな間取りをつくりやすいため、建築費用が抑えやすいというメリットがあります。また、住宅ローンを利用するための50%制限も効率的にクリアできるでしょう。
ただし、賃貸では日当たりや防犯面の観点から2階以上の部屋の方が需要は高くなります。そのため、1階を賃貸にすると入居者が決まりにくくなるおそれがあります。
もうひとつは1階と2階を縦割りした、メゾネットタイプです。賃貸部分をファミリータイプにするときにおすすめの活用方法です。上下間の騒音トラブルを防ぎ、戸建て感覚で生活しやすいというメリットがあります。
ただし、間取りが複雑になることや、50%制限をクリアしにくいなどのデメリットがあります。また、隣り合って生活するため、お互いの生活音が気にならないよう防音性の高い壁を取り入れるなどの配慮が必要です。
賃貸部分は40㎡以上にする
賃貸併用住宅を新築すると、取得した不動産に対して不動産価格(課税標準)×3%の不動産取得税がかかります。しかし、不動産取得税には軽減措置が設けられているため、条件を満たせば税金を減らせます。
賃貸併用住宅の場合は、賃貸一戸あたりの床面積を40㎡以上240㎡以下にすることで、不動産取得税の課税標準から1,200万円を控除できます。賃貸併用住宅における不動産取得税の軽減措置特例の概要は、次のとおりです。
適用要件 | 控除 | |
---|---|---|
住宅 | 対象床面積50㎡以上240㎡以下 | 1,200万円 ※長期優良住宅の場合は1,300万円 |
非住宅(賃貸部分) | 一戸あたりの床面積 40㎡以上240㎡以下 |
1,200万円 |
参考:東京都主税局「不動産取得税」
少し難しい内容になりますが、要約すると賃貸部分の適用要件を満たすことで「1,200万円×戸数」の控除が受けられるということです。
部屋の床面積が40㎡であれば25畳ほどの広さになるため、間取りとしては1LDK・2DKが適しているでしょう。ターゲットが限定されがちな1Kや1Rと比較して、1LDK・2DKであれば単身者やカップルなども入居しやすい間取りです。軽減措置を受けながら入居率を安定させることで、結果的に費用を抑えられるでしょう。
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