リフォームローンに控除はある?住宅ローン減税の条件と控除額を解説

リフォームは住まいの快適性を高める一方で、工事内容によっては高額な費用がかかることもあります。そのようなときは「リフォームローン」を利用するのも一つの方法です。
工事の内容や借入期間、居住の条件など、一定の要件を満たせばローン控除の対象になる場合もあります。リフォームをスムーズに実施するためにも、ローンの仕組みや控除制度について正しく理解しましょう。
目次
リフォームローンの基礎知識
住宅のリフォームを行うときに利用できるのが「リフォームローン」です。金融機関のローン審査にとおれば、工事費用を無理なく支払うことができます。リフォームは工事内容によって数百万円単位の費用がかかることもあり、活用したいと考える方もいるでしょう。
まずは、リフォームローンの基本的な仕組みと、控除が受けられるかどうかについて解説します。
リフォームローンとは
リフォームローンとは、設備の修理・交換、住宅の改修、増改築などリフォームに必要な費用をまかなえるローンです。
住宅ローンとは以下のような違いがあります。
| ローンの種類 | 住宅ローン | リフォームローン |
|---|---|---|
| 利用目的 | 住宅の購入 | 家の改修や設備の修理・交換 |
| 担保の必要性 | 抵当権の設定が必須 | 金融機関や商品によって異なる※不要なケースもある |
| 借入可能額 | 数百万円~数千万円程度 | 数十万円~数百万円程度 ※10万円~の少額からの借入も可能 |
| 金利 | 0.5%~3.0%程度 | 1.3%~5.0%程度 |
| 借入期間 | 最長35年 | 10年~15年程度 |
リフォームローンは住宅ローンに比べて、金利が高く借入期間も短い傾向です。ただし、金融機関によってローンの内容は異なるため、必ず公式サイトの案内を確認したうえで検討しましょう。
リフォームローンは控除の対象になる?
結論として、リフォームローンに限定した控除制度は設けられていません。前述したように、住宅の取得時に利用する住宅ローンと家の修繕や増築などで利用できるリフォームローンは、目的が異なるためです。
ただし、返済期間が10年以上の住宅ローンを利用し、一定の改修工事を行うなどの要件を満たしていれば、控除の対象になることがあります。
リフォームした場合に利用できる減税制度
前述のように、リフォームローンは要件を満たせば住宅ローン控除が適用される可能性があります。またローンの有無に関係なく、リフォームを対象とした減税制度を利用すれば、費用負担を抑えられるでしょう。
この章ではリフォームした場合に利用できる減税制度を2つご紹介します。
住宅ローン減税(増改築)
住宅ローン減税は、マイホームの新築、取得、増改築(リフォーム)などで利用できる制度です。正式名称は「住宅借入金等特別控除」や「住宅特定改修特別税額控除」など、工事の種類によって名称が異なります。
住宅ローンを利用している方がリフォームを行った場合、一定の要件を満たすことでローン減税の適用対象になります。
| 対象となる工事 | ・耐震改修工事 ・バリアフリー改修工事 ・省エネ工事(断熱改修工事など) ・同居対応工事(※) ・長期優良住宅化リフォーム(※) ・子育て対応(※) ・その他の増改築 (※)のついたものは別途要件の定めあり |
| 主な要件 | ・リフォームを実施する人が所有・居住している家である ・リフォーム後の家の床面積が登記簿表示上で50㎡超 ・工事費用が100万円超 ・対象の工事のために償還期間(完済までの期間)10年以上のローンを利用する ・その年の合計所得が2,000万円以下 ・リフォーム完了後6カ月以内に居住、かつ各年の12月31日まで居住する ・令和7年12月31日までにリフォームを行い、そのまま居住している ・併用住宅の場合は床面積の2分の1以上が居住用で、工事費用も2分の1以上が自己の居住用に使用 |
| 控除額の計算方法 | ・リフォーム工事費用相当分の年末ローン残高-補助金等 × 0.7% ※所得税から控除しきれない場合は、9.75万円/年を上限にして翌年の住民税から控除 |
| 最大控除額 | 140万円 |
| 借入限度額 | 2,000万円 |
| 注意点 | ・名義人とローンの借入人、居住者が一致している必要がある 租税特別措置法施行令第26条第33項に定める第1号~第6号工事のいずれかに該当する工事が対象 |
参考:国土交通省|住宅ローン減税(増改築)の概要
リフォーム促進税制
リフォーム促進税制は自宅で一定のリフォームをした場合に、所得税や固定資産税の減税を受けられる制度です。前述した住宅ローン減税と違い、リフォームに際して住宅ローンを利用していない場合でも適用可能です。
所得税と固定資産税で要件に違いがあるためそれぞれ詳しく解説します。
所得税の税額控除
所得税の減税は基本的に以下の6つの工事が対象となります。
| 対象となる工事 | ・耐震リフォーム ・バリアフリー改修工事 ・省エネ工事(断熱改修工事など) ・同居対応工事 ・長期優良住宅化リフォーム ・子育て対応リフォーム |
| 主な要件 | ・リフォームを実施する人が所有・居住している家である |
| 控除額の計算方法 | ・A×10%+B×5% ・A:性能向上工事費用 ※標準的な工事費用相当額-補助金等 ・B:1,000万円-A ※性能向上工事費用のうちAを超えた分+その他の増改築工事費用-補助金等 |
| 最大控除額 | 130万円 |
| 注意点 | ・除期間は1年間のみ ・性能向上工事とあわせて行う場合のみ「その他の増改築工事」が対象 |
参考:国土交通省|住宅:住宅をリフォームした場合に使える減税制度について
固定資産税の減額措置
固定資産税の減税は基本的に以下の4つの工事が対象となります。
| 対象となる工事 | ・耐震リフォーム ・バリアフリー改修工事 ・省エネ工事(断熱改修工事など) ・長期優良住宅化リフォーム |
| 主な要件 | ・リフォームをする人が対象の家を所有、かつ居住している ・工事費用が一定額を超える ※その他の要件は工事の種類によって異なる |
| 控除額 | 【耐震リフォームの場合】 ・翌年分の固定資産税が2分の1減額【バリアフリー・省エネリフォーム】 ・翌年分の固定資産税が3分の1減額【長期優良住宅化リフォーム】 ・翌年分の固定資産税が3分の2減額 |
| 注意点 | ・2027年3月31日までなど、改修工事に終了期限が設定されている ・申告先は税務署ではなく市区町村 |
参考:国土交通省|住宅:住宅をリフォームした場合に使える減税制度について
リフォームで住宅ローン控除を利用するには確定申告が必要

前述したように、リフォームでも一定の要件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けられます。住宅ローン控除は、2年目以降になると年末調整で自動的に適用されますが、初年度は確定申告による申請が必要です。
そのため、リフォームで住宅ローン控除を利用する場合の確定申告について詳しく解説します。
住宅ローン控除で確定申告をするやり方
リフォームで確定申告をするときの大まかな手順は以下の通りです。
- 確定申告に必要となる資料を用意する(収入、経費、控除などを証明する書類)
- 確定申告書を作成する
- 税務署に確定申告書を提出する
※納付税額がある場合は期日までに行う。還付の場合は確定申告書の提出後3週間~1カ月半程度で口座に振り込まれる - 確定申告書のコピーや必要書類を保存する
住宅ローン控除の適用を受ける上で特に重要なのが、1と2の工程です。必要書類を漏れなく用意すること、確定申告書に必要事項を正しく記入することが求められます。
会社員で給与所得以外の所得がない場合は、国税庁のサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用するのがおすすめです。画面の案内に沿って必要事項を入力することで、自動的に計算して確定申告書を作成してくれます。
確定申告を手書きで行う場合の手順
手書きで申請書を作成する場合の流れは以下の通りです。
- 確定申告書等の様式「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を用意する
※国税庁のホームページからダウンロード、もしくは税務署の窓口などで取得できます - 一面の「3 増改築等をした部分に係る事項」に必要事項を記入し、その後二面に移る
- 二面の該当欄に必要事項を記入して控除額を計算する
- 計算して求めた控除額を一面の「9 (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」に転記
- 確定申告書第一表の「34 (特定増改築等) 住宅借入金等特別控除」に控除額を転記
確定申告書が完成したら税務署へ郵送や持ち込みで提出しましょう。確定申告の期間は翌年の2月16日から3月15日頃です。なお確定申告によって所得税が還付となる場合は、2月16日よりも前に提出できます。
減税制度の適用を受けるための必要書類
以下は、住宅ローン減税の適用を受ける際の必要書類の一例です。
- 確定申告書
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 工事完了後の家屋の登記事項証明書
- 工事請負契約書の写し
- 補助金等の額が明らかな書類(補助金等を受けている場合)
- 増改築等工事証明書(発行した建築士の免許証の写しまたは免許証明書を添付)
必要書類に不備や漏れがあると、確定申告書の提出後に税務署から指摘を受ける恐れがあります。スムーズに自宅のリフォームを進めるためには、ローン制度に詳しい不動産会社へ相談するとよいでしょう。
資金計画から手続きの流れまでサポートしてくれる会社であれば、無理のなくリフォームを進められます。
出典:国土交通省|住宅ローン減税(増改築)






