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地震に強い家の形とは?構造、設計など家づくりのポイントを解説

地震に強い家の形とは?構造、設計など家づくりのポイントを解説

2024年1月1日、能登半島で発生した地震では多数の家屋が倒壊し、多くの方が犠牲となりました。輪島市では7階建てのビルが横倒しになるなど、衝撃的な映像が放映され、日本中に大きな衝撃を与えました。

地震に強い家屋とは、どのような家屋なのでしょうか。地震に強い家屋の形や地震に強い家の基礎知識、安心して暮らすための地震に強い家づくりのポイントなどについてわかりやすく解説します。

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地震に強い家の形は正方形や長方形

家の形によって、地震に強い家と弱い家があります。地震に強い家はシンプルな形で、正方形や長方形といった四角形の家は地震に強いといえます。家を囲んでいる6つの面(天井、床、四方の壁)が一体となって、全体を支えてくれるためです。

地震が発生したときに正方形や長方形の家だと、地面や壁などから住宅に伝わった地震のエネルギーを四方の壁がバランスよく支えてくれるのです。

反対に、形が複雑な家は地震に比較的弱く、上から見たときにL字型やコの字型の家、壁に凹凸が多い家などは地震に弱いとされています。

地震に対する強さを追求するのであれば、できるだけシンプルな四角形、可能であれば正方形の家を建てるのがベストです。

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地震に強い家づくりの基礎知識

地震に強い家を建てるために、どのような知識が必要なのでしょうか。ここでは、以下の3つのポイントについて解説します。

  • 耐震・制震・免震の違い
  • 耐震等級の意味
  • 地盤の重要性

耐震、制震、免震の違い

耐震・制震・免震はそれぞれ別の意味を持っています。

耐震 地震の揺れに耐える
制震 地震の揺れを吸収する
免震 地震のエネルギーを外に逃がし建物を守る

耐震とは建物の強度をアップさせ、地震の揺れに耐えられるようにすることです。地震対策の基本といってよいでしょう。耐震で建物の強度を高めることより、なかにいる人が建物の倒壊で押しつぶされるのを防ぎます。

制震構造は建物の変形を軽減でき、住宅を地震による損傷から守ります。繰り返される余震にも強い構造です。代表的なものは制震装置(ダンパー)で地震エネルギーを吸収する方法です。そのほかには、心柱制震しんばしらせいしんという方法があります。

免震は地震の揺れを受け流すことで、建物と地盤を切り離すことで建物に地震の揺れを伝えない方法です。基礎の部分にダンパーやアイソレーターといった振動を軽減する装置を設置し、その上に建物を建てます。地震が来たときには振動軽減装置が振動を吸収するため、建物まで揺れが伝わりません。

耐震等級の基本

耐震等級とは地震などに対する強さをあらわしたもので、建物構造の安定性や品質表示のひとつとして広く知られています。耐震等級は住宅の性能表示について定めた「品確法」に沿って制定されました。耐震等級の数字が大きいほど、耐震性が高くなっています。

耐震性に影響を与える要素は次のとおりです。

  • 建物の重さ
  • 耐力壁の多さや配置
  • 接合部や基礎の強度
  • 床の強度

これらを高めることで耐震性を高められます。耐震等級は次の3つに区分されています。

耐震等級1 震度5程度までなら軽度なひび程度

震度6強でもすぐに倒壊しない

現行の建築基準法の基準
耐震等級2 耐震等級1の1.25倍の耐震性 病院・学校・避難所の基準

長期優良住宅の基準

耐震等級3 耐震等級1の1.5倍の耐震性 消防署、警察署、災害復興拠点に求められる基準

耐震等級が示されるようになったのは、2000年以降です。そのため、それ以前に建てられた建物のなかには耐震等級が不明なものもあります。1981年6月1日以降に建てられた建物は現行の建築基準法を満たしているため、耐震等級1以上の強度があるとみなされます。

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地盤の強さが重要

地盤とは建物を建てるときに、基礎部分を支える土地のことです。地表から一定の深さまでを地盤と考えればよいでしょう。

地盤は支持地盤と軟弱地盤のふたつに分けられます。支持地盤とは建物などの荷重を支えられる、安定した地盤のことです。一方、軟弱地盤とは荷重が加わることで変形してしまう安定性が低い地盤のことです。軟弱地盤の場合、建物を建てる前に地盤改良が必要となります。

改良工事を行っても工事が不十分であれば、不同沈下を起こしてしまうおそれがあります。不同沈下とは地盤のゆがみによって建物が地中に沈み込み、傾いてしまうことです。不同沈下が発生するとドアが閉まらない、外壁や内壁に亀裂が入るといった被害が生じます。

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安心して暮らせる地震に強い家づくりのポイント

地震に強い家の形

ここからは地震に強い家を建てるためには、どのようにすればよいのかを解説します。

家の間取りをシンプルな形状にする

シンプルな形にするほど、地震に強い家になります。家を建てる土地の形にもよりますが、四角形のシンプルな形がもっとも地震に耐えられるでしょう。

家の形が凹凸になってしまうと家の一部に力が集中し、倒壊の原因となります。家が均等に揺れることでバランスよく力がかかるため、できるだけ正方形に近い住宅の形にし、弱点となってしまう凹凸や角をなくすことが重要です。

家の基礎をベタ基礎にする

家の基礎にはいくつかの種類があります。

杭基礎 地盤沈下を起こしやすい軟弱地盤で使用。杭基礎の上に布基礎やベタ基礎を設置
直接基礎 独立基礎 主な柱の下にだけ基礎をつくる。住宅基礎として使われることは少ない
ベタ基礎 全体がコンクリートでおおわれている基礎。面で家を支えるため不安定な地盤でも可能
布基礎 外壁や柱など主要部分だけにつくられる基礎。点で支えるためベタ基礎よりも弱い
深基礎 ほかの基礎よりも深い部分まで基礎を入れる。高低差があるときや地下室をつくるときに使用

直接基礎の4つのなかで地震に強いのが、建物の重さをコンクリートの面で支えられるベタ基礎です。阪神淡路大震災以後、戸建て住宅でも安定性が重視されるようになり、多くの新築住宅でベタ基礎が採用されています。

ベタ基礎を利用する一番のメリットは耐震性の強さです。コストはかつて主流だった布基礎よりかかりますが、耐震性を重視するならベタ基礎が望ましいでしょう。

屋根材に軽量な素材を使う

屋根材を軽くすることで、耐震性をアップさせられます。屋根が重いと建物の重心が高くなるため、地震の揺れが大きくなってしまうのです。屋根の重さは素材によって異なります。

屋根の素材 1平方メートルあたりの重さ 30坪の屋根の重さ
瓦屋根 約60kg 約6,000kg
スレート屋根 約20kg 約2,000kg
金属屋根 約5kg 約600kg

金属屋根のなかでもガルバリウム鋼板の重さは1平方メートルあたり約5kgで、瓦屋根の10分の1以下です。軽量で丈夫な屋根材を使用することで、地震に強い家にできます。

耐力壁をバランスよく配置する

地震の影響を受けやすい1階の壁を増やしたり、バランスよく配置したりすることでも耐震性を上げられます。ただし、壁をやたらに増やせばよいというわけではありません。住宅に対して水平方向にかかる力に耐えられる「耐力壁」を増やすことが重要です。

耐力壁が多いほど地震に対する耐久性が高まりますが、一部だけに耐力壁が集中してしまうと耐力壁がない部分に力が集まってかえって地震に弱くなってしまいます。そのため、バランスよく耐力壁を配置することが重要です。

安定した地盤で家を建てる

地盤が安定しているかどうかは、地盤調査を行えばわかります。阪神淡路大震災を受けて、2000年に改正された建築基準法では、家を建てる前の地盤調査が義務づけられています。

地盤調査を行った結果、地盤改良が必要と判断されれば地盤改良工事が行われます。地盤改良の方法には、表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法の3つがあります。

表層改良工法 軟弱地盤が地表から2メートル以内のときに採用。軟弱地盤の土地とセメント系の固化材を混ぜて転圧し地盤を強化
柱状改良工法 軟弱地盤が地表から2~8メートル以内で採用。固化材を地盤に注入し、柱状の強化地盤をつくって建物を支える
鋼管杭改良工法 軟弱地盤が30メートル以内で採用。金属製の鋼管を地盤に打ち込み建物を支える

表層改良はコストがもっとも安いのですが、勾配の強い地盤や地下水位が地盤改良面より高い場合は採用できません。作業する人の技術によって、仕上がりに差が出る点にも注意が必要です。

柱状改良は戸建て建設でもっともよく用いられる方法ですが、改良を行うともとに戻すことが難しく、改良杭が地盤に残ってしまいます。そのため、土地の売買価格が下がるおそれがあります。

鋼管杭工法は強度が高いため、かなり重い建造物でも支えられます。しかし、コストが高い点や大型重機が必要になる点、工事中の騒音や振動が大きい点に注意が必要です。

地震に強いハウスメーカーに相談する

2024年1月の能登地震でもわかるように、日本に住む以上、家を建てるときは地震の影響を考える必要があります。そのため、各住宅メーカーは品質向上のため、日々、研究を続けています。

地震に強い家をつくるには、これまで数多くの住宅を建て、ノウハウを蓄積してきたハウスメーカーに相談することをおすすめします。所有する土地に合った住宅を建てるため、ノウハウを持ったハウスメーカーに相談してみましょう。

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