民泊って儲かる?持て余した空き家をリノベーションで活用!

外国人観光客の増加や物価高などを背景に、ホテルや旅館などの宿泊費の高騰、予約の困難という状況が起こっています。そこで注目を集めているのが、民泊事業です。使用していない住宅があれば、宿泊先に困っている人たちへ貸し出して利益を得られるかもしれません。でも、本当に民泊は儲かるのでしょうか。気になる民泊で儲ける方法を解説します。
民泊で儲ける仕組み
民泊とは、旅行者や観光客に向けて一戸建てやマンションの一室を貸し出すサービスのことです。少ない初期費用でもはじめられ、さらに社会問題となっている空き家の有効活用にもなります。また、ほかの宿泊施設との差別化を図ることで、大きな利益が得られる可能性もあります。
ここからは、民泊が儲かる仕組み、都市型と地方型の収益モデルの違いを解説します。
民泊が儲かる仕組みと稼働率の関係
民泊で儲けるには、なるべく低コストで運営し、稼働率を上げることが重要です。「稼働率」とは、予約可能な日数のうち、実際に宿泊された日数の割合です。稼働率は以下の計算式で求められます。
稼働率(%)=実際の宿泊日数÷営業可能日数×100
稼働率は運営状況や収益性を測るための重要な指標で、稼働率が高いほど収益性が高く安定していることを意味しています。しかし、民泊は2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出を行った物件は、180日を超える営業ができないと定められました。また、各自治体によっては営業日が限定されていることもあります。したがって、営業制限のないホテルや旅館などに比べて、民泊は稼働率が低くなりがちです。
都市型と地方型で違う収益モデル
民泊といっても都市部と地方では、収益モデルそのものが異なります。ここでは、都心型と地方型の収益モデルを見ていきましょう。
都市型収益モデル
京都市内にあるワンルームマンションの一室を民泊として運用するケースを想定し、年間180日営業した場合の収益モデルを紹介します。
【条件】
エリア:京都市内
間取り:ワンルーム(36㎡)
1泊料金:25,000円/泊
想定稼働率:70%
営業日数:180日
【計算式】
年間売上=(営業日数×稼働率)× 1泊料金
年間売上=180日×70%×25,000円=3,150,000円※
※この計算式は仮の数値による概算です。実際の収益とは異なります
京都市内の物件は人気が高く、ゴールデンウィークなどの大型連休は稼働率が高くなるため売上アップが期待できます。ただし、ここから清掃費、管理費用、民泊サイト手数料などの諸経費が引かれるため、実際の利益はこれよりも少なくなります。利益を上げるためには、低コストで運営することも大切です。
地方型収益モデル
茨城県にある一戸建てを民泊として運用するケースで、年間180日営業した場合の収益モデルを紹介します。
【条件】
エリア:茨城県内
1泊料金:20,000円/泊
想定稼働率:60%
営業日数:180日
【計算式】
年間売上=(営業日数×稼働率)× 1泊料金
年間売上=180日×60%×20,000円=2,160,000円
自然豊かな地域はのんびり過ごせることや、地域ならではの体験ができることから外国人観光客に人気があります。都心部に比べて稼働率が下がるものの、年間200万円程度の収益を期待できます。
ただし、閑散期の集客の工夫や、低コストでの運営は必要不可欠です。田舎ならではの特色を活かして、農業体験や自然体験など、唯一無二の体験オプションを提供することで売上アップが期待できます。
民泊サイト(Airbnbなど)との連携方法
民泊事業の注目が高まるなか、集客に便利な「民泊サイト」も増加しています。ただし、民泊サイトによって、得意なターゲット層やサポート体制、手数料が異なるため、利用条件をよく確認して自分に合ったサイトに登録することが大切です。なお、民泊サイトは、大きく以下の3つに分類されます。
- 民泊ポータルサイト:世界中の宿泊施設を扱い、圧倒的な集客力を誇る(例:Airbnb、Booking.comなど)
- 民泊独自サイト:自らサイトを運用・管理する。宿泊客と直接やりとりできるものの、集客が難しい
- ホテル混合ポータルサイト:ホテルや旅館も掲載している宿泊施設検索サイト(例:一休.com、エアトリ民泊など)
登録するサイトが決まったら、アカウントを作成して施設情報の登録を行います。施設情報は、ゲストが宿を選ぶときの重要な指標になるため、所在地、部屋数、宿泊可能人数、設備、アメニティなどの詳細情報を正確に入力しましょう。
空き家で民泊をはじめるメリット
サイドビジネスとして魅力的な民泊ですが、民泊をはじめると以下のようなメリットがあります。
- 空き家の維持コストを収益に変えられる
- 初期投資が少なく手軽にはじめられる
- 賃貸より高利回りが期待できる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
空き家の維持コストを収益に変えられる
空き家は所有しているだけで、毎年の固定資産税などの維持コストがかかります。維持コストの負担を軽減するには、「賃貸に出す」「売却する」などの選択をするしかありませんでした。しかし、2018年6月に施行された「住宅宿泊事業法(民泊新法)」によって、空き家を民泊施設として利用できるようになりました。処分に困っていた空き家が民泊施設として生まれ変わり、さらに収入も得られるのは、空き家で民泊を営む最大のメリットといえるでしょう。
初期投資が少なく手軽にはじめられる
すでに空き家を所有している人は、新たな不動産取得費用がかかりません。毎月ローンを支払ったり、賃料を払ったりする必要がないため、運用費を抑えられる点は空き家民泊のメリットといえます。また、空き家を長期間放置していると建物の劣化が進み、資産価値が低下します。長期間放置して老朽化した家は解体費用がかかるため、売却時は不利になります。しかし、民泊で収益が出ている空き家は「事業用不動産」として売却できるため、高く売却できる可能性があるでしょう。
賃貸より高利回りが期待できる
民泊事業は、賃貸経営よりも高い収益を期待できます。宿泊料金は月単位の家賃より高く設定できるため、短期ならではの高単価を見込めるケースもあります。特に需要が高い観光シーズンやイベント開催時に宿泊料金を値上げすることで、収益の最大化が可能になります。また、長期的に貸し出しする賃貸物件に比べて短期間の宿泊がメインの民泊では、内装や設備の劣化が少なく、原状回復費用や修繕費用を抑えられます。
民泊経営をはじめるときの注意点
民泊経営は法令を遵守し、トラブル防止策を講じることが重要です。ここでは、民泊経営をはじめるときの注意点を紹介します。
- 開業届を提出する
- 近所トラブル対策をする
順番に見ていきましょう。
開業の手続きを確認する
民泊事業を行うには住宅宿泊事業法や旅館業法に基づく、登録や許可を受ける必要があります。また、所得税法によって、事業の開始等の「事実があつた日から一月以内」に開業届を提出することが定められています。開業届の提出は義務のため、必ず提出する必要があります。
近所トラブル対策をする
民泊事業は、ゲストの騒音やゴミの出し方など、マナー違反によってトラブルが発生する可能性があります。あらかじめ近隣住民に迷惑をかけることを想定して、民泊のルールをゲストにしっかり指導することが大切です。
また、長く民泊事業を営むには、近隣住民の方とのコミュニケーションを大切にしましょう。民泊事業やゲストへの理解を得られるよう、近隣住民への配慮は忘れてはいけません。
民泊におすすめのリノベーション
民泊での稼働率を高めるため、リノベーションを行うのも良いでしょう。費用はかかってしまいますが、快適に過ごせるリノベーションを行うことで、多くのゲストに選ばれる可能性があります。ゲストを集められる、民泊におすすめのリノベーションを紹介します。
- 滞在者が快適に過ごせる空間づくり
- 水回りは清潔感を重視
- 間取りの工夫で満足度アップ
- 外装の好感度は集客につながる
- ターゲット層とコンセプトをしっかり固める
- 安全性を確保する
それぞれのおすすめポイントを見ていきましょう。
滞在者が快適に過ごせる空間づくり
ゲストに快適に過ごしてもらうためには、居心地の良い空間づくりが大切です。たとえば、清潔感のある水回り、広々としたリビング、リラックスできる寝室などが挙げられます。これらを意識してリノベーションを行うことで、ゲストの満足度を高めてリピート率を上げる効果が期待できます。また、快適性を向上させるには、家具の配置や照明の明るさ、清潔な寝具、家電、アメニティ、インターネット環境等の設備も大切です。
水回りは清潔感を重視
リノベーションで最も重視すべきなのは「水回り」です。築年数が経過した空き家は、トイレやキッチン、浴室などの水回りが汚れています。特に水回りは雑菌が繁殖しやすいため、新しいものへ交換することをおすすめします。逆にこういった設備がきれいだと、ゲストの印象も良いものになるでしょう。
間取りの工夫で満足度アップ
空き家の民泊は家族やグループを中心とした、大人数の宿泊で利用されるケースが多いです。そのため、なるべく壁や仕切り、柱を減らして開放感のある間取りを意識しましょう。たとえば、オープンキッチンを導入してゲスト同士のコミュニケーションが取りやすくなるようにしたり、ウッドデッキや縁側を設けて大人も子どもものびのび過ごせるような工夫をしたりするのがおすすめです。
また、大人数の宿泊を受け入れるために、寝室を多めに設けてプライバシーに配慮することも大切です。開放感とプライバシーのメリハリを意識して、ゲストの満足度アップを図りましょう。
外装の好感度は集客につながる
外観は民泊サイトの物件情報として掲載されることが多く、外観の印象が悪いと物件の魅力がゲストに伝わりにくくなります。集客に大きく影響するため、リノベーションを行う際は内装だけでなく外観にも注力しましょう。また、窓やドアは安全性や快適性に関わるため、なるべく新しいものへ変更することをおすすめします。
ターゲット層とコンセプトをしっかり固める
民泊の立地条件によって、ターゲット層が変わります。たとえば、観光名所の近くは外国人観光客の集客が見込めるため、外国人観光客をターゲットにすると良いでしょう。古民家は外国人観光客から人気があるため、古民家の良さを活かしたリノベーションがおすすめです。
また、若者世帯をターゲットにするのか、家族連れをターゲットにするのかでリノベーションの内容が変わります。しかし、どのターゲットでも共通するのは、清潔・安全・快適に過ごせる空間であることです。さらに、どのような空間にしたいのか、コンセプトを明確にして内装や外装のリノベーションを行うことで、より物件の魅力を高められるでしょう。
安全性を確保する
不特定多数の人が出入りする民泊は、安全性の確保も課題となります。部屋ごとに鍵を付けるのはもちろん、防犯カメラの設置も検討しましょう。また、空き巣や泥棒対策として、ドアや窓も防犯性能の高いものへの変更がおすすめです。さらに、構造や設備の劣化など、目に見えない部分を確認することも大切です。