共働き世帯の住宅ローン|年収の目安はどれくらい?夫婦で建てる住宅プラン

夫婦どちらかの年収で住宅ローンを借りようとすると、大きな金額は借りられません。共働きなら大きな金額を借りられます。
共働きで住宅ローンを組む場合の、年収の目安などを解説します。
目次
共働きで住宅ローンを組めば理想の家が建てられる
近年共働き夫婦が増えているため、住宅購入時において「収入を合算して住宅ローンを借りたい」と考えている人も多いです。世帯年収が増えれば、住宅ローン限度額も上がるため、理想の住まいを実現しやすくなります。
そこでここからは、年収と住宅ローンの関係や共働き夫婦の年収の目安、共働き夫婦が住宅ローンを組むメリットなどについて解説します。
知っておきたい、年収と住宅ローンの関係
住宅ローンの申し込みする際には、以下のような項目がチェックされます。
- 年収
- 年齢
- 勤続年数
- 就業形態
- ローンの利用状況(自動車ローンや教育ローンなど)
この中で最も重要視されるのは、年収と年齢です。年収の場合、「年収300万円以上」などのボーダーラインが設けられている場合があります。
さらに気を付けておきたいのが、年齢です。たとえば、申し込み可能年齢が20歳以上65歳以下、完済時の年齢が70歳未満という利用条件だとします。この場合、60歳で住宅ローンを組んだ人は、10年以内に完済しなければなりません。
借入期間が短ければ、借入可能額にも影響するため、希望額が借り入れできないこともあるでしょう。また、「正社員」は申し込み可能でも、「パート」「アルバイト」は申し込みできないなど、勤続年数や就業形態も大きく影響します。
このように、住宅ローンを利用するためには、金融機関が設けている利用条件をクリアしなくてはなりません。特に、年収と年齢は借入額にも影響するため、申し込み時は利用条件をよく確認しましょう。
共働きなら夫婦の年収で住宅ローンを組める
共働き夫婦が住宅ローンを組む場合には、以下のような選択肢があります。
- 夫婦どちらかがローンを組む「単独ローン」
- 夫婦が物件に対してそれぞれローンを組む「ペアローン」
- 夫婦の収入を合算して住宅ローンを組む「収入合算」
「単独ローン」の場合、1人の収入で借入額が決まるため、ペアローンや収入合算に比べて借入限度額は低くなります。
一方、「ペアローン」は夫婦それぞれが主債務者となり、2つの住宅ローンを契約します。たとえば、夫3,500万円、妻2,000万円がそれぞれ借入すると合計で5,500万円借入することができます。また、住宅ローン控除を2人分受けられるなどのメリットもあります。
「収入合算」は、夫婦の収入を合算してローンの借入額を増やす方法です。主債務者は夫婦のどちらか1人で、もう1人は連帯保証人となるため、互いに全額の返済義務を負います。
共働きで住宅ローンを組むときの年収の目安
無理のない借入額の目安は、「年収の5~7倍以内」と言われています。たとえば、夫の年収が400万円、妻の年収が300万円の場合、世帯年収は700万円になります。この場合の借入額の適正な金額は3,500万円~4,900万円となり、毎月の返済額は14万円前後となるでしょう。
この返済額を見て、「こんなに払えない」と感じるのであれば、借入額を4,000万円弱まで抑える必要があります。一方、「もっと払える」のであれば、予算を増やして借入額の上限まで借りることを検討しましょう。
安心してローンを組める年収
安心してローンを組める年収というのは、個々の状況や借入額によって異なるため、一概にいくらとは言えません。
現実的な方法としておすすめなのは、返済比率を目安にすることです。返済比率とは、「年収に対するローンの年間返済額」のことで、住宅ローンの返済金額が多いほど、返済比率は高くなります。
なお、毎月の住宅ローン返済額は「年収の25%以内」が理想とされています。これらを踏まえて、下表では年収別の借入額の目安と毎月住宅ローン返済額の目安を一覧にまとめました。
年収 | 借入額の目安 | 毎月の住宅ローン返済額 |
---|---|---|
400万円 | 2,000万円~2,800万円 | 8万3,000円(借入額2,540万円) |
500万円 | 2,500万円~3,500万円 | 10万4,000円(借入額3,180万円) |
600万円 | 3,000万円~4,200万円 | 12万5,000円(借入額3,830万円) |
700万円 | 3,500万円~4,900万円 | 14万6,000円(借入額4,440万円) |
800万円 | 4,000万円~5,600万円 | 16万7,000円(借入額5,080万円) |
900万円 | 4,500万円~6,300万円 | 18万8,000円(借入額5,730万円) |
1000万円 | 5,000万円~7,000万円 | 20万8,000円(借入額6,370万円) |
※毎月の返済額は、「年収×年収負担率25%÷12カ月」で計算しています。
ただし、上表はあくまでも1つの目安です。子どもの人数や生活する地域の物価など、ご家庭の状況に合わせて「安心してローンを組める年収」について話し合ってみましょう。
住宅ローンをペアローンで組む際の注意点
ペアローンは借入額を増やせるメリットがありますが、利用にはあらかじめ理解しておきたい注意点があります。ここでは、以下2つの注意点について解説します。
- 一方に不測の事態が生じた場合に備える
- 諸費用が2人分かかる
具体的な内容について見ていきましょう。
一方に不測の事態が生じた場合に備える
ペアローンの場合、夫婦2人とも団体信用保証に加入することができます。そのため、どちらかに不測の事態が生じた場合は、保険でローン残債が完済されます。
ただし、残された人の住宅ローンはそのまま残ってしまいます。残ったローンを1人で担いながら、生活費の支出を負担するのは大きなデメリットとなるでしょう。このようにペアローンは、契約者のどちらかに不測の事態が生じた場合のリスクについて注意しなければなりません。
諸費用が2人分かかる
住宅ローンを契約する際には、以下の諸費用がかかります。
- 融資の事務手数料
- 印紙税
- 司法書士への報酬
- 保証料
多くの金融機関では、借入金額に一定の手数料を乗じて事務手数料を計算します。たとえば、借入額5,000万円、事務手数料2.2%の場合、事務手数料は110万円ほどかかります。2,500万円ずつのペアローンにした場合でも、事務手数料は110万円となるため、必ずしもペアローンが高くなるというわけではありません。
しかし、司法書士への報酬は、2つの契約分支払うことが一般的であるため、単独ローンより高くなるでしょう。
世帯年収700万円の住宅プラン
国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」によると、分譲集合住宅や分譲戸建住宅を購入する世帯年収は600万円~800万円が最も多いことがわかりました。そこで、ここからは、世帯年収700万円の夫婦を想定した住宅プランを紹介します。
住宅ローンで借りられる金額の目安
世帯年収700万円の夫婦がペアローンを組む場合、借入額の目安は3,500万円~4,900万円です。仮に35年の住宅ローンを組んだとしたら、毎月の支払い額はおおよそ14万円前後になります。
ただし、これは35年の住宅ローンが組める年齢であることが条件です。住宅ローンの完済年齢は70歳~80歳までの金融機関が多く、45歳の夫婦がペアローンを組んだ場合、住宅ローンが25年もしくは30年までしか組めない可能性があります。
その結果、希望の借入額が借りられない、月々の返済額が高額で支払いが困難になる、などのリスクが考えられます。借入時の年齢は借入額にも影響するため注意が必要です。
世帯年収700万円ならどんな家が建てられる?
住まいの選択肢は、注文住宅、新築戸建、マンションなどさまざまです。では、世帯年収700万円ではどのような選択肢があるのでしょうか。結論からお伝えすると、住む場所によっては注文住宅も十分建築可能です。
たとえば、世帯年収700万円の夫婦が、30坪の土地を2,000万円で購入したとします。世帯年収700万円の借入額は一般的に3,500万円~4,900万円であるため、建築費用に1,500万円~2,900万円をかけることができます。頭金を入れることで、さらに建築費用に余裕を持つことも可能でしょう。
ただし、家を建てる際は、土地と建物代の合計金額の10%~15%程度の諸経費がかかります。つまり、土地と建物で4,500万円かかる場合は、土地代、建築費用とは別に450万円~675万円程度の諸費用を考慮しておかなくてはなりません。
外壁の塗装、建物の修繕にも備えておく
一戸建ては築10年を過ぎた頃から徐々に修繕が必要になります。修繕費用で1番高額なのは「外壁塗装」で、100万円~200万円が相場と言われています。
さらに、屋根の塗装、フローリングの張り替え、水回りの修繕など、築年数を経過するにつれて次々と修繕が必要になるでしょう。そのため、日頃からコツコツ積み立てておくことが大切です。
今後のライフプランを含めた返済計画が必要
一戸建ては、建物の修繕費に加えて固定資産税や都市計画税、火災保険料などがかかります。それぞれの内容は下表の通りです。
項目 | 費用相場 | 内容 |
---|---|---|
固定資産税 | 10万円~20万円 | 土地と建物両方にかかる
|
都市計画税 | 3万円~5万円 | 市街化区域内の土地にかかる
|
修繕費 | 10万円~30万円 | 外壁塗装、屋根修繕、内装工事等 |
火災保険・地震保険 | 1万円~5万円 | 住宅が地震や火災などの天災被害に遭ったときの保証 |
これらは、年間で40万円~55万円程度かかると言われています。住宅維持にかかる支出をあらかじめ把握しておくことは非常に重要です。住宅購入を検討している人は、今後のライフプランを慎重に計画し、長期的に見て無理のないマネープランを立てましょう。