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賃貸併用住宅

賃貸併用住宅の10年後はどうなる?起こり得るリスクと失敗を防ぐ対策

賃貸併用住宅の10年後はどうなる?起こり得るリスクと失敗を防ぐ対策

賃貸併用住宅は、家賃収入を得ながら自宅として暮らせる一方、空室や家賃の下落、修繕費の増加などが生じるおそれがあります。建築を検討する際は、10年後の金利や周辺の賃貸需要、家族構成の変化などを意識し、長期的な収支や暮らし方まで考えておくことが大切です。

10年後に起こり得る変化やリスク、賃貸併用住宅のメリット・デメリットを踏まえ、長く安定して暮らすために準備しておきたい対策を解説します。

賃貸併用住宅で10年後に生じるリスクや変化

賃貸併用住宅は、家賃収入を得ながら自宅として暮らせますが、10年が経過すると新築時とは賃貸経営の収支や建物の状態が変わってきます。まずは、10年後に変わりやすい要素とリスクについて見ていきましょう。

空室が増えて家賃収入が減る可能性がある

賃貸併用住宅が築10年になると、空室期間が長くなる場合があります。周辺に新築の賃貸住宅が増えたり、地域の賃貸需要が変化したりすると、建築当初と同じ入居率を維持できないケースがあるためです。

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年における賃貸用の空き家は全国で443万6,000戸でした。「賃貸用の空き家」とは、新築・中古を問わず、賃貸のために空き家となっている住宅のことで、アパートやマンションでは入居者のいない一室も1戸として数えています。

賃貸併用住宅だけを対象とした数字ではありませんが、空室問題を抱える賃貸物件は少なくないことがわかります。空室が長期化すると、想定していた家賃収入を得られなくなります。

参考:総務省|令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果

築年数の経過により家賃の値下げが必要になる

築年数が経過すると、周辺の賃貸物件の状況や相場の変化などにより、家賃の見直しが必要になる場合があります。新築時には物件の新しさがアピールポイントになりますが、10年後では築浅物件と比較されるため、家賃の値下げといった工夫を行うことになるのです。

総務省統計局が2013年・2018年の「住宅・土地統計調査」にもとづいて分析したデータでは、民営賃貸住宅は築年数の経過に伴って家賃の下落が確認されています。ただし、家賃の下落幅は築年数によって一律ではなく、築浅・築古では下落の傾きが緩やかになるとしています。

参考:総務省統計局|民営家賃の経年変化の推計

修繕や設備交換の費用がかかる

築10年前後になると、建物や設備の状態によっては、修繕・交換を検討する時期に入ります。

国土交通省が作成した「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」では、長期修繕計画の一例として、屋根や屋上の防水塗装、外壁塗装、給湯器、エアコンの修理・交換については10年を目安に挙げています。

ただし、すべての賃貸併用住宅で10年ごとに修繕が必要というわけではありません。建物の構造や建材、設備、劣化状況などによって適切な時期は変わります。

参考:国土交通省|民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック

新築・築浅物件と比べて競争力が低下する

築年数が経過すると、周辺の新築・築浅物件と比較された際に、設備や内装、外観などで見劣りすることがあります。築10年程度でも、その後に建てられた賃貸物件と比較され、機能や仕様に差が生じることがあるためです。

同程度の家賃で新しい賃貸物件が供給されていると、入居希望者から選ばれにくくなり、空室期間の長期化や家賃の見直しにつながります。物件の競争力は築年数のほか、立地や管理状態、周辺の賃貸物件の供給状況などにも左右されます。

社会情勢や金利の上昇により収益性が下がる

日本銀行の政策金利は、2024年3月のマイナス金利政策の解除以降、段階的な引き上げが続いており、2026年6月には1.00%程度まで上昇しています。これに伴い、住宅ローンの変動金利も緩やかな上昇傾向にあります。

住宅ローンは変動金利型を選ぶ人の割合が多いというデータがあるため、賃貸併用住宅でも金利のタイプによっては収益性が低下しやすくなります。物価上昇によって修繕費や管理費などの維持コストが増えれば、手元に残る利益はより圧迫されるでしょう。

家族構成や暮らし方が変化する可能性がある

10年の間に、オーナー自身の暮らし方が変化することもあります。子どもの独立や親との同居、転勤などによって、新築時に計画した自宅部分の広さや間取りが、現在の生活に合わなくなることもあるでしょう。

賃貸併用住宅は自宅部分と賃貸部分が一体となっているため、自宅部分だけを自由に変更できない場合があります。たとえば、子どもの独立後に2つの部屋をつなげて広いリビングにしたいと考えても、建物の構造や配管の位置などによっては対応が難しいことがあるのです。

賃貸併用住宅のメリット・デメリット

賃貸併用住宅として利用されている建物

賃貸併用住宅には家賃収入を得られるメリットがある一方、一般住宅にはない賃貸経営の負担があります。10年後のリスクだけを見て判断するのではなく、長期的に得られるメリットと負担するデメリットの両方を理解したうえで、賃貸併用住宅を検討することが大切です。

メリット

賃貸併用住宅における主なメリットは以下のとおりです。

  • 自宅に住みながら家賃収入を得られる
  • 固定資産税・都市計画税を抑えられる場合がある
  • 賃貸部分の管理状況を確認しやすい
  • 広い土地を有効活用できる
  • 将来の資産形成に活用できる

入居者から得た家賃をローン返済や建物の維持費に充てられるため、家賃収入が安定していれば家計の負担軽減が期待できます。

一つの土地に自宅と賃貸住宅を建てられるため、土地の広さを持て余している場合は活かせる点も利点です。一定の要件を満たす住宅用地では、固定資産税を軽減する特例が適用されるため、税負担を抑えられることもあります。

デメリット

賃貸併用住宅のデメリットもあるため、わかりやすく箇条書きにまとめました。

  • 空室や家賃滞納で収入が得られない場合がある
  • 修繕費や設備交換の費用負担がかかる
  • 入居者とトラブルが起こるおそれがある
  • 間取りを変更するのが難しい場合がある
  • 物件の売却時に買い手が限られる

空室や家賃滞納が発生すると家賃収入が減る一方で、ローン返済や固定資産税などの支払いは続きます。自宅以外に賃貸部分の設備が故障した場合や、外壁・屋根の修繕にも対応しなくてはいけません。

自宅部分と賃貸部分の距離が近い間取りでは、生活音や共用部分の使い方などでトラブルになることがあります。そのほか、一般的な戸建て住宅とは間取りが異なるため、売却時に購入希望者が限られ、売却まで時間がかかることがあります。

賃貸併用住宅で10年後も安心して暮らすための対策

賃貸併用住宅における10年後のリスクに備えるには、建築前から毎月の収支や修繕、金利、賃貸需要などを想定しておくことが大切です。具体的に取り組める対策を事前に押さえておきましょう。

空室を見込んで収支をシミュレーションする

収支計画では、すべての部屋が常に入居している状態で計算しないことが重要です。入居者が退去すれば、募集から次の入居まで数カ月空くケースも珍しくなく、その期間は家賃収入がありません。

たとえば、1室が空室になった場合、空室期間が数カ月続いた場合、家賃を下げた場合など、複数の条件で収支を確認しておくと、どの程度まで収入が減っても返済を続けられるのか把握できます。ローン返済だけでなく、管理費や修繕費、税金、保険料なども支出として計算しておきましょう。

入居者のニーズに合わせて物件の魅力を維持する

10年後も入居者を確保するには、建物を新築時の状態に近づけるだけでなく、現時点で求められているニーズを確認することも大切です。

設備や内装の流行は変わるため、建築当初に人気だった仕様が10年後も人気があるとは限りません。入居募集に対応している不動産会社や管理会社から、問い合わせの多い設備や競合物件の特徴を聞き、必要に応じて改善します。

ただし、設備を充実させれば入居率が上がるわけではありません。修繕や退去のタイミングに合わせ、入居率や家賃への効果が期待できる部分から優先して改善することが重要です。

修繕計画を立てて必要な費用を準備しておく

建物の修繕費は、建築時から計画的に積み立てておくことが大切です。屋根や外壁、給湯器などは修繕・交換の時期が重なると、まとまった資金が必要になります。

賃貸経営では、日常的な修理や入居者の退去に伴う原状回復に加え、築年数の経過に応じた修繕・交換費用も発生します。設備に不具合が重なると支出が一時的に大きくなるため、将来の修繕費を別途確保しておきましょう。

修繕が必要になる時期は、建物の構造や使用している建材・設備、劣化状況などによって異なります。施工会社の保証内容や点検時期を確認し、建物の状態に応じて修繕計画や準備する資金を定期的に見直すことが重要です。

周辺の賃貸需要や家賃相場を定期的に確認する

建築時に賃貸需要が高い地域でも、10年間に周辺環境が変化する場合があります。新しい賃貸住宅の供給、最寄り駅や商業施設の状況、人口・世帯の変化などを確認し、現在の家賃や間取りが入居希望者のニーズと合っているか定期的に見直しましょう。

特に退去が続いた場合は、家賃を下げる前に原因を確認することが大切です。家賃が周辺相場より高いのか、設備が不足しているのか、募集方法に問題があるのかによって有効な対策は異なります。

金利上昇を想定した返済計画を立てる

変動金利など将来金利が変わる可能性のあるローンを利用する場合は、借入時より金利が上昇した場合の返済額も試算しておきましょう。10年間の金利を正確に予測することは難しいため、現在の金利を前提として計画している場合は注意が必要です。

同じ時期に空室や修繕が発生したケースも想定すると、必要な資金を考えやすくなります。融資を選ぶ際は金利の低さだけでなく、固定・変動の違い、固定期間、返済期間、繰上返済の条件なども確認し、無理のない方法を選びましょう。

併用住宅のノウハウがある工務店を探す

賃貸併用住宅は、自宅として暮らすための設計と、入居者から選ばれる賃貸住宅としての設計を両立する必要があります。そのため、賃貸併用住宅の施工実績や賃貸経営に関する知識がある工務店やハウスメーカーへ相談することが重要です。

自宅と入居者の動線、防音処理、各住戸の間取り、将来のメンテナンス方法まで、建築前にしっかり検討しておけば、10年後の問題を減らせる可能性があります。相談する際は、現在の建築費や想定家賃だけでなく、空室が発生した場合の収支、家族構成の変化など、長期間を見据えたプランを提案してもらいましょう。

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