3階建ての高さは何メートル?平均の目安と用途地域ごとの高さ制限を解説

3階建ての家を検討するとき、「建物の高さは何メートルになるのか」「この土地に3階建てを建てられるのか」は最初に気になる点です。3階建ての高さは一般的な寸法で計算すると約9.5mで、土地によっては高さの上限に近くなります。
この記事では、3階建ての高さの計算例、用途地域ごとの高さ制限、2025年4月の法改正の影響、制限の中で開放的な家にする設計の工夫を、表と箇条書きで整理します。
3階建ての高さは何メートルが目安か

木造3階建ての高さは、一般的な天井高で計算すると約9.5mが目安です。高さの平均を示す公的な統計はないため、ここでは寸法の例を使った計算で示します。
建物の高さを決める3つの要素
建物の高さは、主に次の3つで決まります。
- 天井高:床から天井までの高さ。居室は2.1m以上と法令で定められている
- 階高:ある階の床から上の階の床までの高さ。天井高に床と天井の厚みを足したもの
- 屋根:平らな陸屋根か、傾斜のある勾配屋根かで高さが変わる
居室の天井高の基準は、建築基準法施行令第21条で定められています。天井高を上げると、その分だけ建物全体も高くなります。
計算例:3階建てと2階建ての高さを比べる
天井高2.4m・陸屋根の家を例に、3階建てと2階建ての高さを計算すると次のとおりです。
| 部分 | 3階建て | 2階建て |
|---|---|---|
| 地面から1階の床まで | 0.5m | 0.5m |
| 1階の階高 | 2.9m | 2.9m |
| 2階の階高 | 2.9m | ― |
| 最上階の天井高 | 2.4m | 2.4m |
| 最上階の天井から屋根の上端まで | 0.8m | 0.8m |
| 建物の高さ | 約9.5m | 約6.6m |
3階建ては2階建てより1フロア分、約3m高くなります。勾配屋根にすると屋根の頂部まで、天井を高くするとその分だけ高さが増えます。
表の数値は計算のための例で、実際の寸法は設計によって変わります。
建築基準法での「高さ」の測り方
高さ制限で使う「高さ」は、建築基準法施行令第2条で測り方が決められています。主なルールは次のとおりです。
- 原則:建物が地面と接する位置の平均の高さ(地盤面)から測る
- 道路斜線制限:前面道路の路面の中心から測る
- 屋上の階段室など:建築面積の8分の1以内なら、一定の高さまで算入しない場合がある
用途地域ごとの高さ制限
3階建てが建てられるかどうかは、土地の用途地域によって大きく変わります。用途地域とは、都市計画で定める土地の使い方の区分で、地域ごとに高さの制限が異なります。
e-Gov法令検索の「建築基準法」第55条・第56条・第56条の2と別表第4をもとに、主な制限を整理すると次のとおりです。
| 用途地域 | 絶対高さ制限 | 北側斜線制限 | 日影規制の対象になる建物 |
|---|---|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 10mまたは12m | あり(高さ5m+勾配1.25) | 軒の高さ7m超、または地上3階以上 |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域 | なし | あり(高さ10m+勾配1.25) | 高さ10m超 |
| 第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域 | なし | なし | 高さ10m超 |
| 商業地域、工業地域、工業専用地域 | なし | なし | 対象外 |
道路斜線制限は、すべての用途地域にかかります。日影規制は自治体が条例で指定した区域だけにかかり、中高層住居専用地域で日影規制がある区域では北側斜線制限はかかりません。
3階建てへの影響が特に大きいのは、低層住居専用地域です。絶対高さ制限と日影規制の両方が3階建てにかかります。

絶対高さ制限:10mの地域は余裕が少ない
絶対高さ制限とは、建物の高さの上限を数値で決めるルールです。第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域では、都市計画で10mか12mのどちらかが定められています。
計算例の約9.5mなら10mの制限にも収まりますが、余裕は約0.5mです。天井を高くしたい場合や勾配屋根にしたい場合は、設計の段階で高さを細かく調整する必要があります。
道路斜線制限:道路が狭いほど影響が大きい
道路斜線制限とは、前面道路の反対側の境界線から引いた斜めの線の内側に、建物の高さを収めるルールです。勾配は原則として、住居系の地域で1.25、商業系・工業系の地域で1.5です(建築基準法 別表第3)。
道路の幅が狭いほど斜線が低い位置を通るため、3階部分が制限にかかりやすくなります。建物を道路から離して建てると、離した距離(後退距離)の分だけ斜線の起点が外側に移り、制限が緩和されます。
北側斜線制限と高度地区:北側の隣地への配慮
北側斜線制限とは、北側の隣地の日当たりを守るため、真北方向の境界線から引いた斜めの線の内側に建物を収めるルールです。3階の北側が斜めに削られた形の家は、この制限によるものです。
東京都都市整備局の「用途地域と高さの制限」では、北側からの斜線には、都市計画で定めた高度地区による制限もあるとしています。
高度地区の内容は自治体ごとに異なるため、都市計画図で確認しましょう。北側斜線で天井が下がる部分にトイレや収納を配置した事例は「こだわりの車庫が2つある、生活動線の優れた家」で紹介しています。
日影規制:低層住居専用地域では3階建てが対象
日影規制とは、冬至日の午前8時から午後4時の間に、周りの土地に一定時間以上の日影をつくらないよう建物の形を制限するルールです。日影の時間の上限は条例で決められています。
低層住居専用地域では地上3階以上の建物が対象のため、日影規制の区域にある3階建ては日影の検討が必要です。その他の地域では高さ10m超が対象で、10m以下の3階建ては対象になりません。
天空率:斜線制限を緩和できる場合がある
天空率とは、ある地点から見上げたときに空が見える割合のことです。計画した建物の天空率が、斜線制限どおりに建てた場合以上になれば、斜線制限を適用しなくてよいと建築基準法第56条第7項で定められています。
天空率で緩和できるのは、道路斜線・隣地斜線・北側斜線の3つです。絶対高さ制限、日影規制、高度地区の制限は緩和できません。考え方は「天空率の基本」で解説しています。
天空率を使い、道路斜線の制限を受けずに建てた事例は「シンプルモダンのガレージハウス」で紹介しています。
2025年4月の法改正で変わった構造のルール
2025年4月1日に施行された改正建築基準法で、木造住宅の構造に関するルールが変わりました。国土交通省の「令和4年改正 建築基準法について」をもとに整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 簡易な構造計算で設計できる木造の範囲 | 高さ13m以下かつ軒の高さ9m以下 | 階数3以下かつ高さ16m以下 |
| 構造計算が必要な2階建て以下の木造 | 延べ面積500㎡超 | 延べ面積300㎡超 |
| 確認申請で構造の審査が省略される木造 | 2階建て以下・延べ面積500㎡以下など | 平屋かつ延べ面積200㎡以下 |
木造3階建ては、改正前も改正後も構造計算が必要です。改正で、軒の高さが9mを超える3階建ても簡易な構造計算(許容応力度計算)で設計できるようになり、階高を高くした3階建てを計画しやすくなりました。
構造計算の費用は建物の規模や形によって異なるため、建築会社の見積もりで確認しましょう。内容は2026年10月時点のもので、最新の情報は国土交通省や自治体で確認してください。
高さ制限の中で開放的な3階建てにする設計の工夫
高さの制限が厳しい土地でも、空間を縦に使う設計で開放感を出せます。主な工夫は次のとおりです。
| 工夫 | 効果 | 注意点 |
|---|---|---|
| 吹き抜け | 上の階の窓の光を下の階まで届ける | 冷暖房の効率を考えた計画が必要 |
| 勾配天井 | 斜線で削られた屋根の形を天井の高さに活かす | 天井の低い部分の使い方を考える |
| 天窓・高窓 | 隣家が近くても上から光を取り込める | 夏の日差し対策が必要 |
| 屋上・ルーフバルコニー | 狭い敷地でも屋外の空間をつくれる | 階段室が高さ制限に収まるか確認する |
どの工夫が合うかは、土地の用途地域と周りの建物の位置で変わります。
3階建ての間取りの例は「3階建て狭小住宅の間取りのアイデアと注意点」、狭小住宅全体の間取りの工夫は「狭小住宅の間取りアイデア」で紹介しています。
BLISSの3階建て・狭小住宅の家づくり
株式会社BLISSは、2003年の設立以来、東京・千葉・埼玉を中心に狭小住宅の家づくりを手がけてきた工務店です。高さ制限のある土地での3階建てには、次の体制で取り組んでいます。
- 設計:一級建築士事務所として、用途地域や斜線制限を踏まえてプランを考える
- 体制:営業・設計・施工の三位一体で、土地の条件を共有しながら進める
- 実績:年間300棟以上。狭小地・変形地・特殊立地での施工ノウハウがある
- 土地への対応:10坪前後の狭小地でも、土地の形に合わせて建物のサイズを調整する
実際の家づくりの例は「施工事例一覧」で紹介しています。
3階建ての高さに関するよくある質問
Q. 10mの絶対高さ制限がある土地でも3階建ては建てられますか?
建てられる場合があります。計算例の約9.5mのように、天井高や屋根の形を調整すれば10m以内に収まる設計は可能です。主な調整の方法は次のとおりです。
- 階高を抑える:床と天井の間の寸法を小さくする
- 屋根の形:勾配屋根ではなく陸屋根にする
- 天井の高さ:勾配天井などで一部だけ高くする
同じ地域では日影規制や北側斜線制限もかかります。すべての制限を同時に満たせるか、建築会社に確認しましょう。
Q. 屋上の階段室(塔屋)は建物の高さに含まれますか?
制限の種類によって異なります。建築基準法施行令第2条では、階段室などが建築面積の8分の1以内なら、絶対高さ制限の計算では5mまで高さに算入しません。
一方、北側斜線制限では階段室も高さに含めて計算します。屋上を計画する場合は、階段室の位置と高さを早めに検討しましょう。
Q. 土地にかかる高さ制限はどこで調べられますか?
用途地域や高度地区、日影規制の区域は、自治体の都市計画図や建築指導の窓口で確認できます。都市計画図をインターネットで公開している自治体もあります。
実際に建てられる高さは、道路の幅や敷地の形によっても変わります。土地の購入前に、建築会社にプランを確認してもらうと確実です。
まとめ
3階建ての高さは、一般的な寸法で計算すると約9.5mが目安です。ただし、建てられる高さと形は、土地の用途地域によって大きく変わります。
- 高さの目安:天井高2.4m・陸屋根の計算例で、3階建ては約9.5m、2階建ては約6.6m
- 低層住居専用地域:10mか12mの絶対高さ制限と、3階建てが対象の日影規制がかかる
- 斜線制限:道路斜線・北側斜線は天空率で緩和できる場合がある
- 2025年4月の法改正:高さ16m以下の木造3階建ては簡易な構造計算で設計できる
同じ用途地域でも、道路の幅や敷地の形、周りの建物によって建てられる3階建ては変わります。土地の契約前に工務店や建築会社に相談し、希望の高さと間取りが実現できるかを早めに確認しておきましょう。







