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リフォーム・リノベーション

介護向けのお風呂へリフォーム|費用の相場、おすすめの工事内容を解説

介護向けのお風呂へリフォーム|費用の相場、おすすめの工事内容を解説

介護が必要な方にとっても、入浴は心身の健康を保つために欠かせない日課です。しかし、浴室の状況によっては、転倒やヒートショックといった事故のリスクが伴います。

段差の解消や滑りにくい床への変更、またぎやすい浴槽へのリフォームは、要介護者の不安を和らげ、介護者の負担軽減にもつながります。安心して入浴できる環境を整えるために、費用の目安や利用できる補助制度などを確認しておきましょう。

介護向けお風呂のリフォームで重要なポイント

介護向けのお風呂リフォームでは、要介護者が安心して入浴できるよう「安全性の確保」はもちろんのこと、介護者の「負担軽減」を意識することが重要です。

具体的にどのようなことを意識すべきなのか詳しく解説します。

要介護者の安全性の確保

入浴は、要介護者にとって健康や清潔さを保つために必要なことですが、心身をリラックスさせる効果も期待できます。一方で、お風呂は転倒などの事故も多く、リフォームを行う際は安全性の確保が非常に重要です。

厚生労働省の「人口動態統計」によると、不慮の事故による死亡のうち、溺死・溺水による死亡数は交通事故による死亡数を大きく上回っています。

そのため、高齢者や要介護者がいる家庭では、「転倒」「溺水」「ヒートショック」にはとくに注意し、それぞれ対策を講ずることが安全性の確保につながります。また、介護者の動きが制限されないように、介護する側の安全性も考慮することが大切です。

参考:厚生労働省令和5年(2023) 人口動態統計月報年計(概数)の概況 」

介護者の負担を軽減する

介護向けのお風呂リフォームでは、「介護者の負担を軽減すること」も目的のひとつです。

そのため、介護者の視点からリフォームについて考えることは、非常に重要なポイントといえるでしょう。たとえば、動きが制限されないよう十分な広さを確保する、介護用のシャワーチェアを置くスペースを確保する、またぎやすい低めの浴槽を設置するなどがあります。

また、浴室の段差や滑りやすい床は転倒リスクを高めるだけでなく、介護者にとっては「安全に入浴させなければならない」という心理的な負担につながります。したがって、介護者にとっても安心できる環境を整えることが重要です。

介護向けお風呂のリフォームでおすすめの工事内容

親の介護に備えてリフォームしたり、自分の老後に備えてリフォームしたりすることは、事故や怪我のリスクを軽減することにつながります。

また、せっかくリフォームするのであれば、コスト面だけでなく機能性や利便性の高さなどを総合的に判断して行うことが大切です。介護を目的としたお風呂リフォームで代表的な工事を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

滑りにくい床材へ変更

浴室の床は水で濡れると滑りやすくなり、転倒や溺水のリスクが高くなります。リスクを軽減するため、「滑りにくい床材」への変更はよく行われている工事のひとつです。

クッション性に優れた床シートを設置することで、転倒した際の衝撃を和らげることができます。さらに、要介護者を補助する際、膝立ちになることが多い介護者にとって、柔らかい素材は身体への負担を軽減できるでしょう。

浴室と脱衣所の段差の解消

浴室と脱衣所に段差があると、高齢者や要介護者が転倒する原因になるおそれがあります。

若い人や身体機能に大きな不安がない人であれば、転倒してもとっさに手をつくことができるでしょう。しかし、要介護者はすぐに反応できず骨折や打撲、裂傷などの重いけがにつながりやすく、そのまま寝たきりになったり、介護度が重くなったりする可能性があります。

また、心理的ダメージも大きく、「また浴室で転んでしまうかもしれない」という不安から、入浴を避けるようになることも考えられます。お風呂のリフォームを行う際は、段差の少ないバリアフリー仕様の出入口を検討するとよいでしょう。

手すりの設置

手すりは安全補助としての役割があり、設置位置と高さが転倒防止のポイントです。浴室内の横手すりは床から75〜85cmが目安で、歩行や姿勢保持をサポートします。出入口には縦手すり(高さ約75cm・長さ60cm以上)を設けると、出入り時の安定性が向上します。

浴槽まわりでは、またぎの動作を支える縦手すりと、浴槽の縁から10〜15cm上に横手すりを設置するのが効果的です。洗い場には立ち座りを補助するための手すりを設けると使いやすくなります。

さらに、脱衣所や廊下にも床から約80cm前後で統一すると、移動全体の安全性が高まります。浴室や脱衣所では、動作に合わせた手すりの配置が重要です。

浴室用のエアコンを設置

脱衣所と浴室との温度差が大きいと、「ヒートショック」を引き起こす可能性があります。

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧が大きく変動し、失神や不整脈、心筋梗塞、脳卒中などの疾患が生じる健康被害です。特に寒さの厳しい冬は、温かい部屋から寒い浴室へ移動することで血圧が急激に変化し、入浴中の溺死や急死につながるおそれがあります。

暖房を設置していない脱衣所や浴室では、室温が10度以下になることも珍しくないため、浴室用のエアコンを設置することをおすすめします。浴室暖房乾燥機や脱衣所暖房機を入浴する20分~30分前につけておくことで、室内との温度差を小さくできるため、ヒートショック対策として役立つでしょう。

出入りがしやすい浴槽へ交換

浴槽を選ぶ際、洗い場から浴槽へ入るときの「またぎ高」を確認することが大切です。安全に浴槽から出入りするには、またぎやすい介護用の浴槽に交換することをおすすめします。

一般的な浴槽の高さは45~60cm程度ですが、筋力が低下した要介護者や高齢者にとって、この高さが負担になることがあります。万が一無理をしてバランスを崩せば、転倒して大怪我をするおそれがあるため大変危険です。

介護向けのお風呂リフォームでは、要介護者の身長や足の上げやすさなどを考慮し、またぎ高が40cm程度の商品を選ぶとよいでしょう。なお浴槽工事は、壁と床の再構築や下地の調整など広範囲にわたるため、段差の解消や床の滑り止めリフォームと同時に進めると、効率よくリフォームできます。

ドアは引き戸にする

浴室のドアが開き戸の場合は、「引き戸」へリフォームするのも有効な対応です。引き戸は開き戸に比べて出入口のスペースが確保しやすい、という特徴があります。

さらに、出入口の段差を解消しておくことで、車椅子でもスムーズに移動できるでしょう。引き戸は小さな力でも開け閉めしやすく、開けたあとも扉が邪魔になりにくいため、介護者の負担軽減にも役立ちます。

非常ボタンを設置する

高齢者や要介護者が入浴中に体調を崩したり、転倒したりするリスクに備えるため、非常ボタンや呼び出し装置の設置を検討するのもよいでしょう。

ただし、非常ボタンを設置していても、高齢者や要介護者がひとりで入浴する際は注意が必要です。急に具合が悪くなったり、転倒してボタンを押せなかったりする可能性があるためです。

非常ボタンを選ぶときは、要介護者も手が届きやすく、操作しやすいものを選びましょう。

バスリフトの設置

バスリフトとは、電動で座面を上下させることで、浴槽への出入りをサポートする福祉用具のことです。浴槽をまたぐときの負担を軽減し、要介護者はバスリフトに座ったまま入浴できます。

浴槽内で転倒するリスクが少なく、立ち上がるときの膝や腰への負担軽減も期待できるでしょう。また、電動で昇降するため介護者の負担軽減にも役立ちます。

バスリフトは、浴槽の形状やサイズなどの条件が合えば、既存の浴槽にそのまま設置できる場合があります。導入前に浴槽への取り付け方法、本人の身体状況や介助方法について、専門の業者に確認しておきましょう。

介護向けお風呂のリフォーム費用の目安

介護向けの浴室リフォーム

介護向けのリフォームは、手すりの設置や段差の解消などの部分的なリフォームから、浴室スペースの拡張など大掛かりなリフォームまでさまざまです。

工事の内容によって費用が異なるため、導入にかかる相場を確認していきましょう。

リフォーム内容費用相場
滑りにくい床材へ変更10万円~20万円
浴室と脱衣所の段差の解消5万円~15万円
手すりの設置3万円~10万円
浴室用のエアコン(浴室暖房)を設置15万円~30万円
出入りがしやすい浴槽へ交換20万円~
非常ボタンを設置する5万円~15万円
ドアを引き戸に変更する5万円~20万円
バスリフトの設置20万円~30万円
浴室スペースの拡張80万円~250万円

予算に限りがある場合は、優先的に取り入れたいリフォームを決めておきましょう。たとえば、手すりの設置と床材の変更を行うだけでも、リフォーム前よりお風呂の安全性を高めることができます。

浴室用のエアコン(浴室暖房)は、防水仕様の電気ヒーターで代替することが可能です。ただし、浴室内で使用する機器は必ず浴室対応の製品を選び、取扱説明書を確認しておくと安心です。

浴室スペースを拡張するリフォームは、費用が高額になりやすいだけでなく、工期も長くなることがあります。基礎工事や外壁工事を伴う場合、1カ月程度かかるケースもあるため、その期間中の入浴について考えておきましょう。

介護用お風呂リフォームで判断に迷ったときは、ケアマネジャーや介護リフォームに精通した専門家に相談することで、より適切なリフォームができます。

介護向けお風呂リフォームで活用できる補助金

介護向けのお風呂リフォームでは、多額の費用がかかってしまうこともあります。しかし、補助金制度を利用すれば費用を安く抑えながら、安全性の高いお風呂にリフォームすることが可能です。

制度ごとに対象者や工事内容、申請方法が異なるため、利用できる補助金がないか確認しておきましょう。

国の補助金制度

介護向けお風呂リフォームで活用できる公的支援として、介護保険の住宅改修費や国・自治体の補助金制度があります。代表的な制度として、「介護保険(高齢者住宅改修費)」「みらいエコ住宅2026事業」を解説します。

介護保険(高齢者住宅改修費)

介護保険制度を利用したリフォームは、要支援または要介護認定を受けている方が対象となります。対象となる改修工事は以下のとおりです。

  • 手すりの取付け
  • 段差の解消
  • 滑り防止及び移動の円滑化のための床又は通路面の材料の変更
  • 引き戸等への扉の取替え
  • 洋式便座等への便器の取替え
  • その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

介護向けのお風呂のリフォームでは、手すりの取付け、段差の解消、床材の変更、引き戸への取替えなどが該当します。

住宅改修費は、支給限度基準額が20万円となっていますが、保険給付は原則9割で、所得に応じて8割または7割となります。そのため、支給額の上限は18万円・16万円・14万円です。

ただし、要介護の区分が3段階以上重くなった場合や、転居した場合は再度20万円まで申請することができます。介護保険を利用する場合は、「住宅改修が必要な理由書」の提出が必要です。理由書は、介護支援専門員など資格を保有する人が作成しなければならないため、ケアマネジャーに相談してから申請を進めましょう。

参考:厚生労働省「介護保険制度の概要

みらいエコ住宅2026事業

みらいエコ住宅2026事業」は、2025年に実施された「子育てグリーン住宅支援事業」に続く、住宅の省エネ化を支援する補助制度です。リフォームについては、「躯体(床・壁・天井)の断熱改修を含む、幅広いリフォーム工事」が対象と、公式サイトに明記されています。

ただし、リフォームで利用する場合の詳しい要件や申請手続きについては、現時点(令和8年4月)で発表されていません。

介護向けお風呂リフォームでよく行われる、手すりの設置や段差の解消などが補助対象になるかは、対象工事との組み合わせや使用する製品などによって異なるでしょう。「みらいエコ住宅2026事業」を利用する場合は、公式サイトで最新情報を確認したうえで、登録事業者に対象工事となるか相談してください。

参考:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業

自治体の補助金制度

次に、自治体が実施している補助金制度について見ていきましょう。一例として、東京都大田区と神奈川県藤沢市の補助金制度を紹介します。お住まいの地域でも利用できる補助金制度があるか、市町村のウェブサイトや窓口で調べてみましょう。

東京都大田区

東京都大田区では、「住宅リフォーム助成金制度」として、対象工事に応じた助成制度を実施しています。工事内容や助成率、上限額は下表の通りです。

工事内容上限額
住まいの質の向上、脱炭素社会への対応、防災対策、循環型社会への対応に該当する対象工事(リフォーム工事)20万円
耐震化工事10万円~30万円
アスベスト除去工事(解体のみは対象外)20万円または50万円
多様な生活様式への対応工事(テレワーク・子育て環境等)20万円
区の他の助成金制度・保険給付制度と併せて申請10万円

参考:大田区「住宅リフォーム助成事業

大田区の住宅リフォーム助成事業は、工事開始前に事前申込が必要です。主な対象者は、令和8年1月1日時点から助成決定日まで工事対象住宅に居住している区民や、助成申請までに工事対象住宅へ住むことができる子育て世帯などです。

詳細な情報や最新情報が知りたい方は、大田区ウェブサイトもしくは市区町村の窓口でご確認ください。

神奈川県藤沢市

神奈川県藤沢市では、障がいの状況に応じて、既存住宅設備の改良に要する費用の助成事業を行っています。

工事内容上限額
浴室、便所、玄関、台所、廊下などの改良工事80万円(1回限り)

参考:藤沢市「住宅設備関連

なお、助成金制度の対象者は以下のとおりです。

  1. 身体障がい者手帳1・2級をお持ちの方
  2. 知能指数が35以下の方(児童を含む)
  3. 身体障がい者手帳3級かつ知能指数が50以下の方

要介護状態の方でも、障がいの種類や程度によっては対象外となるケースがあります。ただし、対象の可否は個別の状況や自治体の判断によるため、ケアマネジャーや市区町村の福祉担当窓口へ相談してみましょう。

この制度の詳しい内容については、藤沢市のウェブサイトもしくは市区町村の窓口でご確認ください。

介護向けのお風呂リフォームは、要介護者の転倒やヒートショックなどのリスクを抑えるだけでなく、介護者の負担軽減にもつながります。身体の状態や住まいの状況によっては、国や自治体の制度が利用可能です。身体の状態に合わせた工事内容の提案は、介護リフォーム・バリアフリー工事の経験が豊富な業者へ相談してみましょう。

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